
過失割合とは
交通事故における過失割合とは、交通事故に対するお互いの責任(不注意、過失)の度合いを割合で表したものを言います。
交通事故というものは、多くの場合、加害者側だけに一方的な100%の過失があるわけではありません。
たとえば、車をわき見運転していた場合は、運転者に過失を問われることになりますが、歩行者が赤信号であるにも関わらず、横断歩道を渡った場合は、歩行者に過失を問われます。
交通事故には、以下の3つがあります。
- 自分の一方的な過失で発生するもの
- 自分と相手、両方の過失で発生するもの
- 相手の一方的過失で発生するもの
交通事故では、加害者、被害者双方の不注意の割合を過失割合と言います。
過失割合は、交通事故事件においては非常に重要な問題です。
なぜなら、この過失割合に基づいて被害者へ支払われる損害賠償金が決定されるからです。
被害者の過失割合が低い場合は、被害者への損害賠償金が高くなることになります。
そのため、交通事故での過失割合が一割の違いでも大きな問題となります。
過失割合の認定方法
交通事故に遭った場合、警察は、「民事不介入の原則」があるため、警察が行うのは捜査までです。
具体的には、事故証明書や供述調書、実況見分調書を作成し、責任の所在を決定します。
そのため、交通事故の当事者双方に過失のある場合、過失割合は、当事者が契約している保険会社の担当者が交渉し決定することになります。
この交渉において基準となるのは、過去の裁判例です。
事故のケースに類似した過去の裁判例を基準にしながら、事故状況に応じて割合を修正することで決定していきます。
ただし、事実関係を巡って双方に意見の相違がある場合は、簡単には決まらないケースも少なくありません。
過失相殺について
決定した過失割合にしたがって、それぞれの損害額を双方に負担させる方法を、過失相殺(民法第722条)といいます。
つまり、過失相殺とは、被害者に過失があった場合、その過失を考慮して、損害賠償額を調整するということです。
ここで言うところの損害賠償額の調整とは、その過失の程度に応じて、損害賠償額を減額するということになります。
加害者は、全損害のうち被害者の過失の程度により、一定の割合を請求することは出来ません。
たとえば、自分の過失が20%の対物事故で、自分の車に100万円の修理代がかかってしまった場合、相手の対物保険からは80万円が支払われることになります。
そして、相手の車も同じく100万円の修理代がかかる場合は、自分が契約している保険会社は、相手に20万円の対物保険を支払わなければならないということになります。
過失割合に納得いかない場合
当事者間で概ね合意がなされていた場合でも、相手の保険会社から提示された過失割合に納得がいかないというのもよくある話です。
保険会社は、交通事故に関するトラブルを専門に扱っているため、事故の当事者が直接交渉することは難しいケースが多いようです。
交通事故専門の弁護士に相談することで、被害者に代わって保険会社と交渉を行ってくれます。